月: 2026年9月

  • SIGSoS 第3回例会議事内容

    システムオブシステムズ研究会(第3回)報告

    SIGSoS 世話人 落水浩一郎

    第3回システムオブシステムズ研究会を下記の報告のように開催した。

    記

    日時:2017年5月30日 18:30~20:30

    場所:銀座ビジネスセンター
    〒104-0061 東京都中央区銀座6-6-1銀座風月堂ビル5階

    出席者(あいうえお順):

    小笠原 秀人(東芝)、落水 浩一郎(UIT、世話人)、艸薙 匠(東芝)、

    栗田 太郎(ソニー)、塩谷 和範(ISO/IEC SC7エキスパート)、

    新谷 勝利 (新谷ITコンサルティング) 、瀬尾 明志(日本ユニシス)、

    奈良 隆正(コンサル21世紀)、羽田裕(日本電気通信システム)、

    堀雅和(インテック)、矢嶋 健一(JTB)

    議事:

    • 18:30~20:15 講演 羽田裕氏、日本電気通信システム“FRAMについて”

    およびFRAMの有用性とスコープについての意見交換

    羽田氏による講演の概要と意見交換の内容を示す(添付資料参照)

    • 自社の通信ネットワーク(電話交換システム相当)分野においては、ソフトウェア障害に比べ,運用・保守作業での障害の割合が増加傾向にある
    • 運用・保守作業における失敗事例をベースにして、ケーススタディによるリスク特定教育を社内で実施している。その際、様々の道具を検討した結果、FRAMの導入を決定した。その結果得られた知見を紹介する。
    • 従来のリスク特定教育では、リーダクラスの参加者に、リスク分類の視点を与えても,経験知が失敗事例の視点対象の選択に影響を与えるという問題があった。
    • リスク特定においては,失敗事例全体に対して経験知を利用するだけでなく,失敗事例を作業に分解した後,作業ごとに経験知を利用するようなアプローチが必要とされていた。
    • そこで、運用・保守作業の失敗事例をFRAMモデルとして可視化することにより、作業の相互依存関係を明確にし、経験知をより網羅的に使いつつ,リスクを特定する学習コースを開発・実施した。
    • 従来は、文章やフローチャートなどによる、シーケンシャルな作業手順に基づく活動であったが、個々の作業の相互依存関係は、実行順序以外は暗黙的であることが多く、個々の作業を実施するための条件・制約などの検討が困難であった。























    • 機能共鳴分析手法の概要は下図(図1)に示す通りである。

              図1 FRAMの概要(別添羽田氏講演資料より)






    • 図1左下の六角形がFRAMにおける機能の表現である。ここで機能とは、例えばシステムの運用者・保守者によって実際に行われた作業や、利用したシステムの機能などを指す。

               図2 FRAMモデルの例(別添羽田氏講演資料より)

    (10)FRAM記述の一つの特徴は、5つの入力と1つの出力をつなぐ「機能間の関係」の

    記述にあり、意味が暗黙的な線・矢印ではなく、明示的な6つの特定の関係を提

    供することである。図2は、「エリック・ホルナゲル(著), 小松原明哲(監訳), 社

    会技術システムの安全分析‐FRAMガイドブック, 海文堂 (2013)」より、羽田氏

    が引用した外科手術のFRAMモデルである。六角形の機能間をつなぐ関係に付いて

    いるラベル(説明)は、その時点での作業完了後の状態を示しており、FRAM記述

    のもう一つの特徴である。

    (11) 図2に示すような、FRAMモデルを利用して、制御されていない出力の変動(リ

    スク)を特定するため「機能の変動」を解析する。変動の要因には3種類の型があ

    る。①機能の内的変動、②機能が実行される状況の変動(外的変動)、③上流機能

    の変動の影響。このうち、②の変動の認識は複雑であり、今後の課題である。

    (12)リスク特定教育を実施した結果を、理解度、役立度、活用度の3点から評価した結

    果、以下のような結果が得られた。

    (13)理解度94%、活用度81%、役立度69%。参加者は、ソフトウェア技術者が12名、ハ

    ードウェア技術者が4名であったが、両者によって評価が異なる。

    (14)ソフトウェア技術者:理解度100%、活用度92%、役立度83%。

    (15)ハードウェア技術者:理解度75%、活用度50%、役立度25%。

    (16)注:ここで、ハードウェア技術者は、「もの中心」の考え方であり、必要であるの

    に「プロセス中心」の考え方が理解できていないなどの議論があった。

    (17)議論:ここで、「1%の不具合を追及するより、99%の成功をさらに改善する」SafetyIIに関する考え方の紹介があり、当然のことながら、FRAMは

    SafetyIIの実現手段として活用すべきであろうという見解の一致をみた。

    • 20:15~20:35 今後の予定

    落水より、ここまでの検討成果をまとめた図(図3)が示され、一部、それをもとにしながら、今後の活動方針について意見交換を行った。図3において、

    • 左側の青色で記述した部分が対象分野であり、分散システム、社会技術システム、システムオブシステムズ、IoTシステムなどを対象としている。
    • その分野では、社会技術システムの複雑性の制御、SoSの境界定義、ディペンダビリティ保証、創発特性への対応などが解決すべき問題として列挙されている。
    • それに対する攻め口の例として、システム要素毎のインクリメンタル開発・テスト、システム構成要素間の不適切な相互作用の解析などを挙げている。
    • 問題に対する解の実現手段として、FRAMとSTAMP/STPAが挙げられている。
    • その他、いまだ調査中の対象が数多く存在し、適切な講師を招くことにより、考察をさらにふかめることの重要性が共有された。
    • 図中、?がついている項目は今後の調査検討が必要とされる部分の例示であり、いまだ信頼できる情報でない、または、未調査であることに注意されたし。

          図3 SIGSoSにおける、これまでの検討内容と今後の検討課題

     また、第4回以降の話題について下記のような提案が会員各位からあった。

    • システムズエンジニアリングの新しいアプローチ(新谷氏)
    • ソフトウェアエージングと若化(広島大学 土肥先生)小笠原氏提案
    • テストに対する考え方あれこれ(電通大 西先生)小笠原氏提案
    • 安心・安全なIOT社会実現に向けた提言(情報セキュリティ大学院大学学長、内閣府SPIプログラムディレクタ 後藤厚宏(ごとう あつひろ)先生)奈良氏提案
  • SIGSoS 第2回例会議事内容

    システムオブシステムズ研究会(第2回)報告

    第2回システムオブシステムズ研究会を以下の報告のように開催した。

    SIGSoS 世話人 落水浩一郎

    日時:2017年3月17日 18:30~20:30

    場所:北陸先端科学技術大学院大学 東京サテライト 研修室A

       東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟19F

    出席者(あいうえお順):

    小笠原 秀人(東芝)、落水 浩一郎(UIT、世話人)、艸薙 匠(東芝)、

    塩谷 和範(ISO/IEC SC7エキスパート)、鈴木 正人(北陸先端大)、

    奈良 隆正(コンサル21世紀)、羽田裕(日本電気通信システム)、

    Huyen, Phan Thi Thanh(日立)、堀雅和(インテック)、矢嶋 健一(JTB)

    議事:

    1. 新規会員羽田裕(ゆたか)さん、および、

    初出席会員Huyen, Phan Thi Thanhさんの自己紹介 

    • 講演:矢嶋健一氏「システムオブシステムズ~旅行業界編」18:40~20:20

    前回に引き続いて、旅行販売システムの事例について、矢嶋氏から講演をいただき、それに基づいて、システムオブシステムズの特徴や問題点を検討した。

    • 旅行販売システムは旅行商品の造成・管理・販売を支援するシステムであるが、販売促進や、オーバーブッキングなど種々のトラブルへの対応は、人間系によってなされており、典型的な社会技術システムである(注:技術システム、例えばソフトウェア、だけで解決しようとすると、実現が複雑かつ困難になる問題を、組織や人間も含めたシステムとして解を構築するのが、社会技術システムの一つの特徴である。)。
      • 旅行製品の造成のため、国内外の航空会社のシステムやホテル業界のシステムとデータ連携をしている。それぞれのシステムが独自に管理されており(Organizational Independence)、システムオブシステム独自の問題点を保有している。
      • 外部システムとの連携目的は、販売用在庫の取得、委託販売、クレジット決済、予約伝達などである。なかでも海外のシステムとの連携は、カルチャーが異なるため大変である。
      • 連携先の複数のシステムと改変計画を揃えなければならず、合意形成に、困難を感じている
      • 国内での連携は、「システムの安定」を優先するが、欧米との連携では「システムの改善」が優先され、その双方を制御できる手法を必要としている
      • 旅行販売システムは、会社の業務の発展、拡大、変更にあわせて発展してきたため

    アーキテクチャが必ずしも統一されておらず、また、その全容を把握している人は少ない。とくに、何が起こるかわからないので、レガシーなソフトウェアを廃棄できない状況である。また、そのシステムを管理・進化させる組織も大規模であり、それぞれの担当が自身のまわりしか見えない状況があり、問題である。しかし、何故か、うまく対応していけている。

    • システム変更による影響波及の回避あるいは対応が困難である。
      • 旅行販売システムの特徴は以下の通り。「情報(データ)を取り扱うシステムである」、「価値の有効活用およびセキュリティのためのデータの一元管理」、「さまざまなシステム間連携」、「トランザクション中心のシステム」。
    • 羽田裕氏「SS2017ワーキングの開催案内」

    来たる6月8日~9日にかけて宮崎で開催される、ソフトウェアシンポジウム2017に、「システムオブシステムズと機能共鳴分析法(仮題)」を提案したい旨の紹介があり、SIGSoSとしては、全面的に協力することとした。運営方法は今後の検討課題である。 

    • SIGSoSの運営について
      • 日本電気通信システムの羽田裕氏が新しく会員となられた
      • 会員の発表についても、3000円の謝礼を払うこととした。
      • 塩谷さんより、資料「VSE(Very Small Entity)標準 導入のガイドブック」が、感想文を提出することを条件に、SIGSoS会員(出席者)に配布された。
      • 次回は5月に開催する。講師は羽田さんとし、機能共鳴手法についてご紹介頂く。

    以上

  • SIGSoS 第1回例会議事内容

    システムオブシステムズ研究会(第1回)報告

    第1回システムオブシステムズ研究会を開催いたしましたので、ご報告いたします。SIGSoS 世話人 落水浩一郎
    日時:2017年1月20日 18:30~20:30
    場所:北陸先端科学技術大学院大学 東京サテライト 研修室A
    東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟19F
    出席者(あいうえお順):
    小笠原 秀人(東芝)、落水 浩一郎(UIT、世話人)、艸薙 匠(東芝)、
    栗田 太郎(ソニー)、塩谷 和範(ISO/IEC SC7エキスパート)、
    鈴木 正人(北陸先端大)、瀬尾 明志(日本ユニシス)、
    奈良 隆正(コンサル21世紀)、堀雅和(インテック)、矢嶋 健一(JTB)
    議事:
    1. 会員自己紹介 18:30~18:50
    2. SIGSoSの運営について 18:50~19:00
    (1) 当面年4回程度の開催とする
    (2) 外部/内部から講師を招聘して、事例研究を中心にSoSに関する理解を深める。外部講師の場合5000円程度の謝礼を払う。また、研究成果のサーベイも適宜実施する。IoTに関する話題もSoSとの関連で含める。
    (3) 活動の成果を全員共著の本としてまとめる。
    3. 講演 落水浩一郎、“システムオブシステムズとデペンダビリティ”19:00~19:50
    (1) いくつかの文献のサーベイを基にして、SoSの定義と問題点、および、
    デペンダビリティ・エンジニアリングプロセスを紹介した(第一回例会資料(落水))
    (2) 以下の質疑がなされた
    ① 「システムの再利用」という言葉づかいは適切ではない。
    「システムの連携」とすべきであろう。
    ② それぞれ異なる組織に属し、独立に進化するSoS構成要素間の調整をどのようにして実現するのか。
    組織を渡る会合を設けて、ネゴシエーションや調整を行う。
    ③ 社会技術システムにおいて、第1層の規則に違反する第2層のプロセスやオペレータが存在する場合、どのように取り扱うのか
    規則を順守することを前提としていると思われるが、今後の検討課題である。
    ④ SoSは還元主義のアプローチでは攻めきれないという意見が、紹介された文献に記載されているが、これについての見解を聞きたい。
    文献には、全体論的アプローチ(holistic approach)をとるべきであるとの見解が示されているが、具体的にどうすればよいかについての考え方は示されていない。その是非も含めて今後の検討課題である。
    4. 事例研究と意見交換 矢嶋健一、“旅行業界の事例”19:50~20:25
    (1) 旅行業界の旅行販売システムがSoS的特徴をもつことが、以下の点にわたって紹介された(会員への資料配布は内容を整備の上、後日あらためてとの連絡あり)。
    ① 異なる組織によって管理される多くの情報システムと連携して、旅行販売システムは構築されている
    ② 独立して管理・進化することによって発生する不整合は、国内のシステムが対象の場合、長時間(例えば6ヵ月)にわたる交渉によって解決する。国際的なシステムの場合は、力の強いところに合わせるしかない。
    ③ データを中心としたシステム連携であり、APIを介して利用する。連携相手ごとにデータの維持・管理の方針が異なり、それに関する調整は大変である。 組織をわたって利用されるデータの一元管理が必要になる。
    (2) 大変興味深い事例であり、SoSの特徴(問題点)とその対策を検討するのに適切な題材であるとの共通認識が参加者の間で持てたので、次回あらためて検討をすすめることになった。
    5. 次回の予定 20:25~20:30
    (1) 次回は3か月後を目標に、議事4の内容(旅行業界の事例)を再度検討し、SoSに関する理解を深めることとなった。